肩先に触れた柔らかな感触に目を開ける。
「バルドル」
掠れた声で其の名を呼ぶ
答えるように小さな身じろぎを一つ。
合わせて、華奢な体を包む白いシーツが衣擦れの音を立てる。
導かれるようにそっとその髪に触れると、鴇色の瞳が薄く開いた。
「すまん、起こしたか」
「ん、だいじょうぶ…」
ひっこめかけた手に細い指が触れた。
「?」
「触れてて。ヘルモーズの手…すき」
…寝ぼけているのだろうか
素直に甘えてくる恋人に愛しさを募らせる。
「ヘル…」
撫ぜるような視線で、甘い声で――
バルドルはヘルモーズの頬に手を伸ばした。
…ああ、こいつは寝ぼけてなんかいない。
「…朝までまだ時間がある。寝てろ」
「―――わかってるくせに、意地悪なヘルモーズ」